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えっ…
と、シェリーは息の詰まった様な顔をしていた。
普通に考えれば有り得ない話しだ。
しかし…臆病者のチャールズが嘘を付けるだろうか??
答えは NO。
ゾクリ…―
と、音でも響いたかと思える感覚…。
「いつ…見たの??」
シェリーはこの感覚を紛らわす為に喋り出した。
「…僕が5歳の頃…クリスマスの日に…」
「誰が連れていかれたの??」
「ソレは…
僕の 兄さん…。」
シェリーは唖然とした。
確かにチャールズの兄ウィリアムは、行方不明という形だが墓碑に名前が刻まれている。
身震いが堪えない…――
「兄さんは僕と違って何でも出来た…けど、そのせいかな?…色んな人を殴ったり、虐めたり……それ所か万引き、恐喝、薬、悪さなら何でもした…。」
「うそ…」
「嘘と思うよね…僕、こんなだし…でも…ソレがいけなかったんだ…僕が…僕が何とかすれば…兄さんは…兄さんはっ…!!!」
切羽詰まった彼の言い方に、シェリーはただ黙るしかなかった…。
「兄さんは、僕の目の前で連れていかれた。
兄さんは、何度も何度も僕の名前を呼んだ。
僕は、臆病者だから…腰を抜かして動けなかった…
僕にもっと勇気があれば…兄さんは…兄さんはっ……!!!」
――――――
あの日…
「チャールズ!!!チャールズ!!!助けて!!!助けてっ!!!!母さん!!!父さんんっ!!!!」
「兄さん!!!兄さんっっっ!兄さん!!」
「嫌だ嫌だ嫌だアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…
ニッ
「コイツハ連レテイクヨ
ボウヤ。」
白い白い闇に…
ウィリアム兄さんさ連れていかれた。
―――
思い出しても
恐ろしい…
あの日の悲劇。
[あんなに叫んだのに…
父さんも、母さんも、信じてくれなかった…。
ソレ所か、僕が兄さんが行方不明になった事によるパニック障害ではないかと言われる有様…。
誰も 信じてくれない
孤独。]
「って…こんな話し…信じられないよね??ごめん、シェリー…」
「…何言ってるの?」
えっ??と、チャールズは顔をあげた。
「信じるに決まってるでしょ??だって、チャールズの話しなんだもん!!
貴方が嘘を付けない事位知ってるんだから!!
ソレに…
友達でしょっ?」
そう言い終わるとシェリーは、いつもの調子でニッコリと、笑った。
つられてチャールズはニッコリと笑って、
「ありがとう」
と、言った。
ソレを彼に見られているとも知らずに…。
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