プレゼント-由良side-

5/6
前へ
/57ページ
次へ
  「どうかしたんすか?中嶋さん。」   「ああ…、岡田か。」   声のする方を見上げると、そこにいたのは同僚の岡田だった。     「悩みでもあるんすか?なんかすごい唸ってましたけど…。」   岡田が言うには、俺は陳列棚の前にしゃがんで、並べるお菓子を持ったままぼーっとして唸っていたようだ。   そう言われると何だか異様な光景だ。     「ああ…色々考えててな…。」   「俺でよかったら相談乗るっすよ?」   「ああ、ありがとう。」   岡田は良い奴だと思う。 まだ若いのにしっかりしてるし。     そうこう話していると、自動ドアの開く音と、来客を知らせるベルの音が店内に響く。     「いらっしゃいませーっ!」    岡田は元気な声で言い、レジの方へ向かって行った。    俺は品出しを続ける。     すると、ひらりと布地が視界の端に映った。   自分の右を見ると、うさぎのぬいぐるみを抱いた5歳くらいの女の子がお菓子を見ていた。       キラリと何かが目に入る。            .
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加