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「どうかしたんすか?中嶋さん。」
「ああ…、岡田か。」
声のする方を見上げると、そこにいたのは同僚の岡田だった。
「悩みでもあるんすか?なんかすごい唸ってましたけど…。」
岡田が言うには、俺は陳列棚の前にしゃがんで、並べるお菓子を持ったままぼーっとして唸っていたようだ。
そう言われると何だか異様な光景だ。
「ああ…色々考えててな…。」
「俺でよかったら相談乗るっすよ?」
「ああ、ありがとう。」
岡田は良い奴だと思う。
まだ若いのにしっかりしてるし。
そうこう話していると、自動ドアの開く音と、来客を知らせるベルの音が店内に響く。
「いらっしゃいませーっ!」
岡田は元気な声で言い、レジの方へ向かって行った。
俺は品出しを続ける。
すると、ひらりと布地が視界の端に映った。
自分の右を見ると、うさぎのぬいぐるみを抱いた5歳くらいの女の子がお菓子を見ていた。
キラリと何かが目に入る。
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