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「…寒……。」
冷たい風に包まれるような寒さで少し目が覚めた。
でもそれは自分の睡魔に勝てるものではなくて、僕は掛け布団を深く被って布団の中で丸くなる。
眠りに落ちようとしたその時―…
「あ…、悪い。起こしたか?」
聞こえてきた低くて優しい声。
由良さんの声だ。
大好きな声に僕は嬉しくなって布団から起き上がった。
「…大丈夫です…。あっ。」
窓辺に立つ由良さんの脇から見える外の景色は真っ白で、最初は何だかわからなかったけど、すぐにその白いのは雪だとわかった。
「雪降ったんですね!…綺麗…。」
僕はカラカラと窓を開けて、人が落ちないようにするための柵に少しだけ積もっていた雪をそっと手で掬う。
「冷たい…。なんか嬉しいです…。」
自分の手の上でじわじわと溶ける雪を見つめていると、白い息が出てるのに寒いなんて事は忘れてしまっていた。
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