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途中で岡田と別れて、儚の待つアパートに着いた。
プレゼントの指輪の事は内緒にしておこう。
儚の驚く顔が目に浮かぶ。
「ただいま。」
「お、お帰りなさいっ!」
扉を開けて部屋に入る。
靴を脱ぎながら"ただいま"と言うと、パタパタと急ぎ足で儚が出迎えてくれた。
「外は寒かったですか?」
「ああ、まあ、それなりに…。」
「そ、そうですか…っ。」
…何だか儚の様子が変だ。
何か隠してるような、慌ててるような…。
「…何かあったのか?」
「え、いや…何も…。」
俺の問い掛けに答える儚は明らかに何か隠しているようで、儚はしっかりと目が泳いでいた。
「本当にか?」
俺は少し腰を曲げて儚と目線を合わせて再び問い掛ける。
「う……あの……え、と…。」
言葉を詰まらせ始めた儚は、すうっ、と大きく息を吸って吐くを二、三回繰り返すと意を決したように口を開いた。
「バイトしたいんです…っ!」
この言葉に俺は唖然とした。
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