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「…バイト…?なんで?」
儚がなんでいきなりこんな事を言い出したのかわからなくて、その内容をとりあえず聞こうと思った。
「あ、あの…自分で使えるお金が欲しくて…っていうのが1番の理由なんです…けど…。」
おどおどしながら答える儚。
「…俺の稼ぎが悪いからか…?」
俺の稼ぎが悪いから儚に気を遣わせてるのかもしれない。
俺の稼ぎがもっと良ければ儚に自由に使わせてやるお金も作れるのに…。
「そうじゃありません!!自分で稼いでみたいですし…。少しでも家計を助けられたらなって…思って…。」
何だそれ…?
やっぱり…
「やっぱり俺の稼ぎが悪いって言ってるだろ…っ!?」
頭に血がのぼる。
儚がビクッと肩を震わせて、恐る恐る俺を見上げる。
俺、何で怒鳴ってるんだ…?
「確かに23にもなってコンビニでバイトだ。稼ぎが悪いのだってわかってるけど……っ。」
俺はもう自分が何に怒ってるのか、何で怒ってるのかわからなくなってこの場に居るのも何だか居づらくてドアノブに手を掛けた。
「…ちょっと…出てくる…。」
部屋を出た俺の後ろで鉄の扉の閉まる音がひどく響いた。
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