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「ぉ、岡田…!」
「は、はい!?」
不意に岡田の名前を呼んだ自分に戸惑い、同時に俺に名前を呼ばれた岡田も驚いていた。
「…ありがとう…な…。」
儚以外に心からお礼を言ったのは初めてかもしれない。
「い、良いっすよそんなっ!ごゆっくりどうぞ~。」
顔が見えなくてもわかるくらいに岡田はびっくりした声を上げて言う。
何だか恥ずかしくて風呂から出られそうにない…。
普段は15分程度で終わる入浴は、結局30分近くといつもの倍くらい入っていて、軽くのぼせたのか頭がふらふらする。
「岡田、着替えありがとうな。洗って返すから。」
俺よりがっしりした体格の岡田の服は少し大きかったが、逆にゆったりと着ることが出来た。
「そんなん良いっすよ!それより飯食いましょう。…まあ、俺が作ったものだからたいした事ないんすけどね。」
ははっ、と苦笑いの岡田の料理は、いかにも男の料理という言葉が似合うもので、ざっくり切ったキャベツや人参を炒めて塩コショウで味付けたものと白米に味噌汁だ。
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