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「なるほど…。」
「俺が悪いんだ。俺が勝手に怒って怒鳴って…。」
岡田は少し考えるように顎に手をあてて口をつぐんだ。
「中嶋さんはどうして儚さんが働くのが嫌だったんですか?」
「儚が人目につくのが嫌なんだ。さらわれてしまうんじゃないかって思って…。本当は買い物にだって行かせたくない。」
そう、儚は前に俺の前で連れ去られたから、またそうなったらどうしようって…。
もう儚を失いたくないから。
「俺が口出すの変かもしれないっすけど、それって儚さん可哀相かなって…。」
「…可哀相…?」
岡田の言葉の意味が、可哀相な部分がわからなくて俺は聞いた。
「好きだから心配だって気持ちはわかるっす。でもそれじゃあ儚さん、監禁されてるみたい…。」
「監禁……。」
監禁という言葉が俺の頭の中をぐるぐる回る。
監禁って…
そんなんじゃ、儚の主人だった人達みたいじゃないか…。
俺は、儚に酷い事ばかりした人間と同じ…。
力が入らなくて、箸が手から転がり落ちた。
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