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「…ありがとう岡田…。俺、ちゃんとわかってやらなきゃ、信じてやらなきゃならなかったんだ…。」
頬を伝う一筋の涙。
情けなくて、自分が馬鹿だった事に気付けたのが嬉しくて涙が溢れた。
岡田は俺より年下なのに、広くて大きくて、きっと兄がいたらこんな風なんだろうと思った。
「中嶋さんなら大丈夫っすよ。一度した失敗はしないでしょ?」
岡田の優しい言葉に、俺は落ち着く事が出来た。
「悪いな…、いきなり押しかけといて帰るなんて…。」
「大丈夫っすよ。また来て下さいね。」
「ああ、じゃあまた仕事でな。」
「はい、気をつけて下さいね!」
岡田のおかげで気付く事が出来た。
早く帰ろう
帰って謝ろう
全く…
年下なのに…
岡田の家が見えなくなる所まで歩くと、そこから一目散に走り出した。
「中嶋さん…。はあ、俺、失恋かあ…。」
寒い寒い白い息の出る外で声を殺して泣いた。
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