クリスマス

3/6
573人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
  「大きいクリスマスケーキが食べたいです!!結婚式のケーキくらいの大きさの!!はあ…おいしそう…。」   目をキラキラと輝かせながら空を見つめる儚の頭の中が見てとれるようだ。   「でもやっぱり1番は由良さんです…。由良さんと一緒にクリスマスを過ごす事が出来れば、僕にとってそれが1番のプレゼントです。」   やわらかで、どこか照れ臭そうな笑顔を浮かべた儚の言葉にこっちが照れ臭くなってしまう。 嬉しいのとくすぐったいので、何だか不思議な感覚だ。   午後5時の商店街の道の真ん中で俺達はしばらく見つめ合い、笑い合っていた。  商店街を行き交う人達がチラチラとこちらを見ていた気がしたが、気のせいだろう。       「冷えてきたし…そろそろ帰るか…?」   「そうですね。すごく冷えてきましたし…。」   儚の頬は林檎みたいに赤くなっている。 そっとその頬に触れるとすごく冷たかったし、冬は日が落ちるのも早くて、もうイルミネーションが似合う空の色をしていたから、俺達は足早にアパートに帰る事にした。               .
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!