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この鉄の階段がもどかしい。
早く儚の所へ…
「儚っ!!」
俺は壊すんじゃないかって勢いで扉を開けて中に入った。
「…儚…。」
儚はテーブルに顔を伏せて眠っていた。
歩み寄ってわかる儚の頬に残る涙の跡。
やっぱり泣いたんだ…。
ごめん
泣かせてごめん
怒鳴ってごめん
さっき岡田の所で泣いてきたのにまた涙が出てくる。
眠る儚を背中から抱きしめた。
「ん……ぅ?」
目を覚ましたのか、儚は後ろから抱きしめる存在を確かめるためまだ眠気の残る顔で振り向く。
「ゆ、由良さ…「ごめん…儚ごめん…っ!」
俺はただ泣きながら謝った。
"ごめんごめん"と言うしか出来なかった。
「由良さん!僕、の方こそ…僕、由良さ…の気にさわる事言ったから…だから由良さん怒って…っ」
儚は、後ろから回した俺の腕をギュッと掴んで泣きながら口を開く。
「違う…っ。儚が心配で…また、ど…こかにさらわれたらっ、て思ったら…外に出したくなくて…っ。俺のしたことは、っお前の主人だった奴らと一緒で…っ!」
鳴咽で何を言たか聞き取れないだろうけど俺の思ってた事は言えた。
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