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風呂桶で湯舟のお湯を掬って身体にかける。
多少身体は温まっていたけどやっぱりまだ体温が低かったのか、お湯が熱く感じた。
でもそれも心地良い。
お湯に身体を沈めると、熱が身体に染み渡ってじんじんする。
「ふう…。」
自然と出る溜息。
安堵からくるものだろう。
久しぶりの休日、商店街に行ったものの結局何も買わないで帰って来た。
むだ足ではなかったな。
儚から嬉しい言葉を聞けたし…。
柄にもなくにやけてしまう。
俺も変わったな…。
儚と出会うまでは何も感じない毎日だったから…。
そんな事を考えていると、ガラッと風呂場の戸が開いた。
「あの…湯加減とか…どうですか…?」
儚は自分の身体の前を胸元までタオルで隠して浴室に足を踏み入れる。
女の子のような仕草。
その辺の女の子より女の子らしいんじゃないだろうか。
「ああ、ちょうど良い。」
俺は儚の艶かしい身体を見つめながら答える。
同じ男とは思えないくらい綺麗な身体だ。
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