聖なる夜に

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  「ただいま…っ。」   「お帰りなさいっ!」   どうやら儚の方が先に帰って来ていたようで、元気な声で出迎えてくれた。   その時気付いた。 儚が着ていたのはサンタ服。   「儚、どうしたんだ?それ。」   恋人がいきなり部屋の中からサンタ服で現れたらそう聞くしかないだろう。   「バイト先でお給料と一緒にくれたんですっ。似合いますか?」   「ああ…、似合う。可愛い…。」   「わあいっ!ありがとうございますっ。」   サンタ服でくるくる回ったり、ぴょんぴょん跳びはねたり。   誰にも見せたくない可愛さだ。     「そういえば高良は?」   「まだ来ないですねえ…。」    言い出しっぺが来ないとは何事だ? 言い出しっぺ云々より、強引に、押しかけるだの言っといて来ないのか。     プルルルル プルルルル プルルルル   「俺が出る。高良かもしれない。」   靴を脱いで部屋に上がり、うるさいくらいに響く電話の受話器を取った。               .
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