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「渉ーっ!」
「へーん!来てみろー!」
愛美は家の前で小さな男の子を怒っている。
「バーカ!」
「なんだってぇっ?」
渉(ワタル)は、愛美の子供じゃない。
愛美は卒業してから出張保育士になった。
いわゆる、ベビーシッターだ。
「おう?またやってるんか」
笑って歩いて来たのは高野和也。
「渉!愛美のいうこと聞かないとお前の母ちゃんに言いつけっぞ?」
高野はそう言って渉の頭をクシャクシャする。
「うっせーよ!それより結衣は?」
「結衣?家で寝てんじゃね?」
「じゃぁ、和兄の家入っていいか?」
「おう、いいぞ!おばちゃんいるからちゃんと挨拶するんだぞ」
「はぁい!」
渉は手を上げ高野の家に入った。
「お前もう少し渉のしつけしたら?」
「いいのいいの。男の子はアンタみたいにガサツなのが一番なんだから」
「はぁ?」
「まぁ、気にしない!」
「…あれ?そういやお前今日は?」
「ん?渉のママが来たらおしまいだよ」
「随分早くね?なんで?」
「ふーん、秘密!」
「あぁー?」
高野と愛美は肩を並べて笑っていたんだ。
「もう春だね」
なんて言いながら。
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