べるりばてぃのにちじょう

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「啓太も嫌がってますよ!  啓太も、優しいのは啓太のいい所だけど、こういう事ははっきり言わないとダメなんだよ」 「そうだよハニー、お友達君がうっとうしいならここで言ってあげた方が親切だよ」 「誰もそんな事は言ってません」  啓太を余所に言い合いを始めてしまった2人をため息と共に見つめていると、不意に肩を叩かれた。  振り返ると俊介がニッコリの擬音付きで立っていた。 「毎度毎度大変やなぁ」 「そう思うなら何とかしてよ」  困り切った表情で言う啓太に俊介は輝く笑顔を見せる。 「何言ってんねん。おもろいやん」  屈託なく笑う俊介に啓太は乾いた笑みをこぼす。 「それより放課後暇か?」 「・・・デリバリーなら手伝わないよ」  魂胆が見えている啓太はキッパリと断わった。 「んなはっきり言うなや。ええやん。用事ないんやろ」  頼み込む俊介に啓太は疑惑の目を向ける。 「俊介と一緒だと良い事ないし」  ブツブツ言ってると突然周りがざわめき出した。 「何をしている」  突然の低い声に一瞬その場が固まる。 「・・篠宮さん」  啓太が呟く様に名を呼ぶと、篠宮は啓太に優しく微笑んでから和希と成瀬に視線を向けた。 「2人共、朝から騒がしいぞ。静かにしていられないのか?」  呆れた様な物言いに和希はばつが悪そうにしたが、すぐにいい返した。 「成瀬さんが啓太にちょっかいかけるのがいけないんです」 「人のせいにするのは良くないよ。  僕とハニーの間に割り込んでくるのは君だろう」  見えない火花が飛び交うバトル再開に篠宮が待ったをかける。 「いい加減にしないか!  お前達は何度同じ事を繰り返せば気がすむんだ」 「ちょ、篠宮さん、俺と成瀬さんを一緒にしないで下さい!」  憮然とする和希に成瀬も負けずといい返す。 「それはこっちのセリフだよ」  まったく懲りてない2人は篠宮の前でまたいい争いを始めてしまった。 「篠宮さん。いつもすいません」 「いや、伊藤が悪い訳じゃないない。それより伊藤?」  気を悪くした様子はないが、言い淀んでいる篠宮に啓太は首を傾げる。 「なんですか?」 「良かったら今日の放課後、練習を見に来ないか?」 「え、いいんですか?」
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