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彼女はゆっくりと目を開いた。カーテンの隙間からはまぶしすぎる程の朝の光がこぼれている。が、夢の世界から彼女を無理やり連れ戻したのは、もっと、感性をイラっとさせるものだった。
ブーブーブー
それはベットの下で、凄まじい音を奏でて動き回っている。
彼女――金森妃菜は「はぁ…」とため息をこぼし、まだ重たい頭を上げると、そのやかましい携帯を掴みあげた。皮肉なものでさっきまで震えていた携帯は妃菜が持った瞬間にプツリと音が消えおとなしくなる。
見ると、新着メールのアイコンが点滅している。
妃菜には送り主が見ずにともわかっていた。
「やっぱり…椿。」
まだ眠そうな目をこすり画面をスクロールさせていくと………
『おっは〰💕😃起きてる⁉窓開けて空☁見てょ〰😆まさに晴天☀☀✨今日の市場は大忙しね😉今日の集合は9:00よ⤴⤴遅れないよ〰にね😁✌ ♥椿♥』
なんとまぁ……朝から元気ですこと。
低血圧な妃菜にとって椿のどこまでもあがっていくテンションは時々、羨ましくも思える。
『時々』の話だが。
妃菜は大きな欠伸をしながら返信を打ち返す。
『おはよ〰ん➰💓おかげ様でスッカリ目が覚めましたぁ⤴😏✨✨了解🎵椿こそ➰遅れないよ〰〰にね😁💓ではまた後程✋』
多少、文は短いが寝起きでのメールではかなり頑張ったつもりだ。
妃菜はベットから飛び降りるとカーテンを勢いよく 開け放した。
椿が言った通り、空には何の問題もない青がどこまでも広がっている。
「おーおー。確かに今日は満員ですなぁ。」
妃菜の1日はこの空の様に気持ちよく始まろうとしていた。
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