第二章「通り雨」

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待ち合わせ場所にした駅 今は待ち合わせ時間その時 「ごめん!今向かってる途中だからもう少し待っててぇ~!」 全力疾走で息を切らし、携帯電話で必死に謝罪している彼がいた。 「また遅刻か!おい!はやーく!」 彼女はそれだけ言い手早く電話を切った。 「うわっ!ってえー!?切るなよチクショー!うぉーーー!!!!」彼はもう繋がっていない電話を耳にあてながら駅へ大急ぎで向かった。 ---------- やっと駅に着いた彼、とはいえ電話を切ってから5分とたたずに到着したのだ、これは彼にとってオリンピックで金メダルをとった事くらいの快挙を成し遂げたと言える。   だがそんな彼の快挙は彼女に関係無い、眉間に皺を寄せ 腕を組み'仁王立ち'と呼ぶに相応しい形で立っている。   その彼女を見て青ざめる彼 その刹那 スローモーションかと勘違いするくらいはっきりと目の前に彼女の拳が向かってくるのが見えてしまった。   「いっ!?」 強烈な山突きが炸裂した。 彼は地べたに尻餅ついて転げ回った。 冗談抜きでクリーンヒットしたその約三十秒後、無言でむくりと起き上がった。 「え…ちょ待ってよ」 彼女の言葉も無視して何かを思い出したかのように彼女の手を引き一言も発さず、駅のホームに早歩きで歩き出した。
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