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声が枯れるまで香奈子の名前を呼び続けた‥。
硬く冷えていく細い身体を抱き締め続けた‥。
香奈子と過ごした日々が、走馬灯のように流れ行き、幻のように消えていく。
その度に香奈子との思い出が、俺の心を深くえぐった。
-胸が張り裂けそうだ-
涙が、止まらなかった。
凍てつく寒さに凍えながら、俺は自分の無力さに腹を立てていた。
悲しみに耐え切れず、降り続く雪にさえ憎悪を抱いた。震える両手を握り締め、自分の体に何度も爪を立てて、死神を恨んだ。
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