51人が本棚に入れています
本棚に追加
ダーリット達が配置に着いたようだ。
このまま進軍してくれば正面と左翼の2面から奇襲をかけられる。
あとは敵が広く散開しない事を祈るだけだった。
映像をノーマルに切り替え、敵を目視する。
密林に阻まれてハッキリとは確認できないが、濃い闇の奥から威圧感だけはビリビリと伝わってくる。
やがて、木々の葉が揺れ始め、その間からあの丸いターレットスコープが、1つ、2つと現れてくる。
緊張がはしる。
もはや先頭のダイビングビートルは全身が確認できる。
彼我の距離は30mくらいだろうか。
1歩、1歩、歩を進める度に“ズン,ズン”と振動が伝わってくる。
しかし、ハヌマンはまだ動かない。
誰もが今にも飛び出さんばかりである。
皆、通信機が壊れているのではないかとボリュームを上げる。
汗が滴り落ちる。
すでに何機かは20m程先を通過しつつある。
と、その中の1機が何かに気付いたのか、機体をこちらにむける。
その瞬間
「撃て!」
ハヌマンの声が鼓膜を破らんばかりの大音量で響いた。
最初のコメントを投稿しよう!