51人が本棚に入れています
本棚に追加
木立を盾にしながら、1機ずつ、ゆっくりと進む。
しかし、どこかに潜んでいるはずのATは、少しも気配を感じさせない。
ハヌマンの脳裏には様々な憶測が浮かぶ。
―まさか、撤退した?‥いや、そんなはずはない。どこかで反撃のチャンスを伺っているはずだ―
ユオの“亀”が移動しようと機体を起こした瞬間、
『うわぁああぁ』
木立ごと銃撃を受けた!
!
すぐさま閃光の光った地点を確認し、反撃する。
「ユオ!大丈夫か?!」
『左腕を持っていかれましたが、爆発はしません。平気です』
『やろぉぉう!』
ドゥクが突進していく。
「待て!」
ハヌマンは制止しつつ、援護の銃撃を続ける。
敵ATが草むらから躍り出て、ドゥクと撃ち合う。
一瞬早く、敵の銃弾がドゥクの“亀”を撃ち貫く!
「クソッ!」
遅れてハヌマンが敵ATを仕留める。
ほぼ同時に2機のATが爆発した。
その炎の向こうに、キラリと何かが光る。 銃口だった。
ハヌマンは右へ右へと回り込みながら叫んだ。
「いた!撃ちまくれ!」
ユオも、片手を失ってバランスの悪い“亀”を必死で抑えながら、ランチャーを撃ちまくる。
また一つ、大きな爆発が起こり、敵ATが下がり始めた。ハヌマンは弾装を替えるのももどかしく、がむしゃらに追撃する。
その時、ダーリットから通信が入る。
『標的、確認した!下がってください!』
前方に閃光が奔り、たちまち2機のATが炎に包まれた。
しかしハヌマンは突進を止めない。
『撃つな!』
ダーリットが、ミゲルとチュオを制する。
挟撃されて行き場を失った最後のATに向かって、ハヌマンは突進していった。
みるみる間合いを詰めると、体当たりを食らわし、倒れたところに全弾を叩き込んだ。
「はぁ、はぁ‥ 」
いつもは穏やかなハヌマンの表情が、この時ばかりは鬼のような形相になっていた。
この時、クメン正規軍の【アッセンブルEX-6】は陥落した。
最初のコメントを投稿しよう!