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「すまん、チュオ。助かった」
『いえ。無事で何よりです』
「うむ。これなら滑走路も使えんだろう。
周囲の警戒をたのむ。
‥ダーリット、応答可能か?
そちらの状況は?」
しばらくすると緊迫した声が通信機に飛び込んできた。
『こちらダーリット!ただ今、敵ATと、クッ… 3機と交戦中!』
「ドゥク・チェットはどうだ?」
『こちらはほぼ制圧しました。』
「よし。ドゥクはダーリットの援護に向ってくれ。我々もすぐにいく。
チュオ、移動するぞ」
ダーリット達は格納庫近くで、ダイビングビートル2機と交戦中であった。
《ダイビングビートルは、メルキアで開発されたATであったが、クメン正規軍にも少量ながら配備されていた。
湿地戦用の機能が備わったATで、唯一ゲリラのスタンディングタートルに対抗し得る戦力であった。
背に腹はかえられない、というところか?
敵対するクメン政府とメルキア政府の微妙な政治的駆け引きが垣間見える事例であった》
特徴的な丸い大きなターレットスコープを持つダイビングビートルの鉄屑が一つ、炎を吹き上げているところをみると、一機は葬ったらしい。
敵は増援が来たことを確認すると、にわかに浮き足立った。
装甲車の残骸を挟んで、格納庫前で応戦していた残りのダイビングビートルは、格納庫の中へと逃げ込んだ。
ドゥクが率いるATが側面に回り込む動きを見せたからであった。
それを確認した5機の亀は格納庫を取り囲み一斉に銃撃を浴びせた。
何かに引火したのか、格納庫は予想以上の勢いで爆発した。
その頃、ハヌマンは司令塔に突撃しているゲリラのリーダーと交信中であった。
『すまん、司令塔の制圧は失敗だ。 我々は撤退する。外から破壊してくれ!』
「了解した。
間もなく敵の本隊が戻ってくる頃だ、。時間が無い。
すぐに一斉攻撃に移る!
逃げ遅れないようにな。」
黒煙を吹き上げ燃え盛る格納庫を背に、ハヌマンの赤い亀の周りに他の亀達が集まってきた。
「すまんがもう一踏張りしてもらうぞ。残弾数を確認しろ。」
『まだ充分あります!』
『同じく』
『いけますよ!』
「司令塔を叩き、敵本隊を迎え撃つ!
動かない敵に無駄ダマ使うなよ。」
『了解ぃ!!!』
6機の亀は背後に聳えるタワーに勇躍して向かっていった。
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