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「津田は気付いてるのかな、葉山の気持ち」
「さぁね。多分わかってないんじゃない?男ってニブいから。でも…」
落ちてきたマフラーを巻き直しながら真由美が続ける。
「ヒロが変われたのはもちろんヒロが頑張ったからだけど、その勇気をひっぱりだしたのは間違いなく津田っちだよ。津田っちは何も考えてないかもしれないけどさ、あいつがいなければ、ヒロはもっと臆病で引っ込み思案なままだったかもしれない」
半年前、津田が書きあげた今回の脚本のあらすじはこうだ。
不慮の事故に見舞われた一組のカップル。
男は不運にも命を落とすが、ひょんなことから事故から一時間前の世界に蘇るチャンスを得る。
しかし時空の歪みに巻き込まれ、なぜか10年若返った姿で彼女の前に現れる羽目に。
目の前に現れた見知らぬ子供に戸惑う女。
一時間後に起こる災厄から、彼は彼女を守ることができるのか。そして彼自身はどうなってしまうのか。
そんな設定だから、
男=津田、女=真由美。
そして甦った少年=葉山。
配役は元から決まっていたようなものだ。
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