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正直、真由美は不安だったらしい。
自分はともかく、葉山に約一時間の舞台を牽引するだけの体力と精神力が充分あるとは思えなかったのだ。
そしてそれ以上に戸惑っていたのが、当の葉山自身だった。
主役として部員全員の期待を背負う重圧に早くも押し潰されそうになっているのが、真由美にも伝わってきたそうだ。
そんな空気の中、あっけらかんと口を開いたのが津田だった。
「というわけで、今年はコレで“全国大会”目指しちゃいますんで、マユミ姐さん、ひろさん、むっちー、尚ちゃん、アカネっち、小山先生、よろしく頑張っていきましょー!」
「ぜ、全国大会!?」
「うん。だって大丈夫っしょ?オレたち天才だし」
津田がニカッと笑った瞬間、葉山の顔から不安が消えた。
掲げた目標は分不相応に高いけど、それを目指すことを憚らない勇気。
何も疑わない彼の信頼に、全力で応えようと。
「それがヒロの力になった。
アタシはそう思う」
そう、真由美は言った。
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