ピン・スポット

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いよいよクリスマスイブ。 ツリーもない。 ケーキもない。 サンタクロースよ、今年のプレゼントは全国大会行きの切符にしてください。 そんな願いが渦巻く、 劇場のメリークリスマス。 想像以上の熱気に包まれて、自分でも興奮しているのがわかる。 朝から他校の芝居を3本観た。 さすがにここまで勝ち上がってきただけあって、かなり上手い。 昼の休憩が終わり、午後の部の開始を告げるブザーが鳴る。 それを合図に、僕らは楽屋に向かった。 普段通りに軽く柔軟と発声練習をするキャストの横で、舞台監督のアカネっちはセットや道具類を、音響のむっちーはMDを、照明チーフの尚ちゃんと僕、そして顧問の小山先生は器材とタイミングの最終チェックを、もう何回やったかわからない。 午後の部は予定より少し押し気味に進行しているらしい。 このままの流れで行くと、最終の僕たちの出番は16時過ぎになるだろうか。 この後、隣の控え室で部分的なリハーサルをして、あとは本番を待つのみだ。 廊下に出て、ふと窓を見上げる。 「明日、雪ふるかな?」 昨日の夜、バス停で最後に聞いた彼女の声が、耳の奥で甦った。
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