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「相川、オマエ、今年のクリスマスイブって暇?」
今から約一ヵ月前。
二学期の期末テストが終わった日の午後、昇降口で一年のとき同じクラスだった津田直之に声をかけられた。
いきなり何の話かと聞いてみると、津田は黙って掲示板を指差した。
「“スタッフ緊急募集”…って、こんな時期に部員集めか?」
振り返った途端、津田がガバッと廊下に膝をついて深々と頭を下げた。
「頼む相川!一生のお願いだ!とりあえず黙って俺に着いてこいっ!」
言われるがままに連れていかれたのは講堂。
気が付くと、僕は二階の最後列で台座つきの黒いキャノン砲めいたものを構えさせられていた。
「スイッチはココな。俺が合図したらバチっと頼む」
「頼むって言われても…」
「ハイっ!」
「ええぇぇ!?」
慌ててスイッチレバーを下げる。
一瞬の空白の後、僕の構えた筒から膨大な光が照射された。
光の先、舞台の中央で眩しそうに僕を見上げている二人の人物。
ひとりはよく知っている。
小学校から腐れ縁の笠井真由美。
そしてもうひとりは…
しばらく考えてようやくわかったとき、僕はあまりの意外さに「あっ」と声を上げてしまった。
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