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翌日の放課後から早速練習に駆り出された。
正直言って僕は演劇部なんてナメていたのだが、いきなり彼らのタフさに驚かされた。
芝居の稽古に入る前に、みっちり一時間以上かけて筋トレとランニングと発声練習をする。
やっと終わって講堂に入るのかと思いきや、部員達は器材と大道具をかついで裏の職員駐車場へ出た。
駐車のない広いスペースを確保すると、1年たちが手慣れた手つきでチョークで地面に線を引いていく。
何をしているのかと津田に聞くと「実際の舞台の大きさを測ってるんだ」と言われた。
全く知らなかったが、高校演劇にも“大会”があるそうだ。
まずは9月から10月にかけて各都道府県内で行われる地区予選を突破しないと始まらない。
そこで2位までに入賞した学校が11月の県大会で競い、これに優勝すると、クリスマス時期に全国9ヶ所で行われるブロック大会に進出できる。
さらにここで優勝すると、翌年8月の全国大会へ。
これがいわゆる“演劇版 夏の甲子園”で、ここに行き着くまでに数えきれない汗と涙があるというわけだ。
ちなみに全国優勝すると、国立劇場で上演できるという副賞があるらしい。
結構ハードな世界だ。
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