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夕方になった。
「そろそろかえろっか、ゆうた」
「…またのれなかった…」
ぼくの目に、うっすらなみだがたまる。
お母さんはぼくのあたまをなでていった。
「ゆうた、あの山見える?」
「…あれ?」
「うん。もうすぐクリスマスでしょ?あの山のてっぺんにはね、クリスマスツリーがあるの。なんのかざりもない、ただのモミの木だけど…そのツリーの下に行くと、キセキがおきるのよ」
「…キセキってなに?」
「そうね…お母さんとゆうたが会えたこと…かな?」
お母さんのことばはよくわからなかったけど、ぼくはうなずいた。
お母さんはえがおでいう。
「だからもし、ゆうたがじてんしゃにのれたら、あのツリーの下に行くといいわ。きっとステキなことがおきるから」
「…ぼく、がんばる」
「うん」
ぼくとお母さんはわらいあった。
そっか、キセキはステキなことなんだ。
それならぼく、もっとじてんしゃがんばろうかな。
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