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「うわぁ。凄い綺麗ですね」
俺の隣に座る前田さんは、湖を見て目をキラキラとさせている。
先程の女性の名前は前田美代(マエダ ミヨ)さん。
年は俺より五歳下の二十一歳で現役女子大生。
今日は友達のお勧めで彼氏と来たらしい。
しかし詳しい経緯は聞いていないが、彼氏と大喧嘩してその場で別れたとの事だ。
そして別れたはいいが彼氏の車で来ていた事を思い出し、最寄りの駅を探そうとさ迷っていたところ軟派にあった。
彼女の話を簡単に説明するとこんな感じだ。
更にまだきちんと湖や冬鳥達は見ていないとの事だったので、折角来たんだからと俺が彼女を引き止めた訳だ。
だが決して軟派なんかではない。
こんな素晴らしい景色を見ずに帰るのは勿体無いと思っただけである。
名刺を渡したせいか、見える範囲には景色を楽しむカップルや家族がいるせいかは分からない。
はたまた第一印象でよく人が良さそうと言われる俺の顔に安心したのか。
彼女も最初は堅くなっていたが、今は俺が冬鳥達の説明をしてあげると、ふんふんと興味深そうに聞いてくれている。
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