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エイリアンの圧倒的な武力に震え上がる人々。しかし希望はあった。人類はあらゆる技術を結集し、敵の侵略兵器に唯一対抗しうる力を持つ巨大人型戦闘ロボットの開発に成功したのだ。
「現在も様々な分野の技術者がその旨を検討しており、」
このロボットを操るには特殊な適性を持つ人間が搭乗しなければならない。そんな折り、普通の一般市民だった健吾はエイリアンの地表攻撃を受けて家族を失った。だがそのショックが切っ掛けで、ある能力に目覚る。
「最新の家電製品などにも搭載されている──」
なんとその能力は、ロボットに搭乗するために必要な適性と全く同質のものだった。パイロットとしての高い素養を地球防衛軍に見出された健吾は、戦闘ロボットに乗ってエイリアンと戦う運命を選択する。
「この熱伝導を表した式だが、」
家族を殺したエイリアンへの復讐心に捕らわれたまま戦っていた健吾だったが、仲間との絆や友情を通じてやがて純粋に世界を守りたいという熱い決意を持ち始める。
「固体物質がパーツとして機能し──」
最後の反攻作戦は激烈を極めた。防衛軍の分解、仲間の死。しかし健吾は負けない。強い覚悟と使命感に突き動かされ、満身創痍の愛機を駆り敵兵器を殲滅していく。想像を絶する死闘の末、ついに健吾は勝利を掴む。
「本日の講義はここまで」
今日まで健吾の事をバカにしてきたあの女達が今更彼を見返したってもう遅い。勝利者となった健吾は英雄として永久に人類の歴史にこの名を刻むことになるのだから。
「さっきの公式は非常に重要なので各自必ずメモを取るなりして確認すること。それから次は実技の予定だ。準備を忘れないように。以上」
現実なんてクソ喰らえだ。こんな世界は死んでしまえばいい。
甘い幻想に閉じこもり、誰からの賞賛も得ることが出来ない人生の不甲斐なさ、情けなさ、負の感情を虚空に向かって吐き捨てた。
◇
すっかり遅くなってしまった。大学の帰りに「機械に強い超インドア派」達の聖地と呼ばれるとある電気街へ寄ったからだ。正直いうと結構な遠出なのである。往復の電車賃は相当高くついた。
ショルダーバックの中は買い込んだコンピューター雑誌やらゲームソフトやらでごった返している。何とも情けない話だが、交通費の元を取るべく思い切り羽を伸ばそうとして店先を歩き回ったところ、余計に出費がかさんだ。
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