非現実の始まり

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「……そういやお前、名前は?」 「はぃ?」  いきなりの質問だったためか、素っ頓狂な声を上げられた。 「死神にも名前くらいあるんだろ? いつまでも猫じゃ色々めんどい」 「てことは……代理やってくれるのか!?」  今にも飛び付かんとする死神を片手で制した。 「勘違いするなよ、呼びづらいだけだ」 「素直じゃねぇなぁー♪ 俺の名前はロキだ。お前はなんて呼べば良い?」 「俺は、水月 晴。晴でいい」 「晴かー。何か似合わない名前だな!!」  満面の笑みでそう言い放つ。コイツ……やっぱり教えるんじゃ無かった。一番触れられたくないところを突いてきやがったよ。  俺は昔から「無愛想の晴」とか「曇り空の晴」とか変な異名を付けられてきた。  確かに無愛想だし仏頂面だし中学三年間と高校入学してしばらくは喧嘩やらかしたりで荒れた時期もあったさ。でも昔の話だ。 「さぁ、もう気が済んだろ? 飯やるから早く出てけ」  俺は手の甲をヒラヒラさせてもう一度冷蔵庫の中身を確認しに戻ろうとした。 「まぁまぁ……そう言うなってー♪ これから仲間になるんだしな!!」  そういって馴れ馴れしく擦り寄ってくる。  このアホは人の話を聞く気があるのか?
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