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ロキの首を掴みそのまま玄関へ、ドアを開けて外へ放り投げる。
投げられた本人は空中で華麗に回転し、そのまま静かに着地した。
「出ていけ。今すぐ出ていけ、さぁ出ていけ!!」
「まだ死神なるって聞いてないから無理だ!!」
まだ言うのかこいつは。いい加減俺の怒りは頂点に達していた。
「いくら待っても答えは一緒だ!! 俺は死神なんてならない。他をあたれ!!」
周りの目も関係なく怒鳴り散らす。
そういや……さっきコイツから「他人には自分の姿は見えても声は聞こえない」って教えられたっけ。微かに残っている力で俺の意識と波調を合わせると会話出来るとかなんとか……って今はそんな場合じゃねぇ。
「現時点でお前しか適任はいないんだよ!! あの時、追っ手を警戒して姿を見えなくしていた俺を見ることが出来るなんて常人には出来ない。すごく稀なんだ!!」
「だから何だよ!? もう非現実的なことは沢山だ!!」
近所のおばさんが変な目で見てる。あぁ……きっと痛い人だとか気が狂ったとか思われてるんだな。
「頼む!!」
「うるさい!!」
必死に頼み込んでいたロキを無視して勢いよくドアを閉めた。
侵入されないように家中のドア、窓に鍵をかけてカーテンをしめるとそのまま居間のソファに倒れこんだ。
あぁ……今日から近所で痛い人呼ばわりか。テレビでよくある「キレる子供たち」が人事に思えない。
死神って何だ?俺は何でアイツが見えた?ロキは何だ?俺は何だ?
分からない、答えなんて出るわけがない。
「何なんだよ……」
しんと静まり返った部屋に、俺の呟きだけが空しく響いた。
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