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Yは家と職場の中間にあった僕の家によく来て、いつも酒を買ってきてくれました。
寒い冬の、その日はなぜかお互い酒量が多く、二人してベロベロになっていました。
夜も更け、ほどなく寝ることにしました。
僕は洋室に、Yは和室に寝ていました。いや、寝ているハズでした…
眠りについて、2時間ぐらいたった頃でした。
僕は部屋に何かの気配を感じ、目が覚めました。暗い室内ですがふと扉の方を見ると、和室にいるはずのYが上目遣いでこちらをのぞいています。
僕は一瞬何が起きたのか分からず、ただYと目を合わせていました。彼もこちらの様子を伺っているように見えました。
「おい、Y?」
僕は恐ろしくなり、そろそろと呼びかけてみました。
返事はありません。Yはただ上目使いでこちらを見るだけです。
頭の中で警報が鳴り響きました。これはただ事ではない、深夜4時過ぎにわざわざ友人の部屋に侵入し、呼びかけにも答えず、上目遣いでこちらを凝視している。僕、いやボクはまだ心の準備が…
冗談はさておき、とにかく常軌を逸したYの行動は、寝起きの僕の精神をパニックに陥れるのに十分でした。その証拠に、僕はなぜかコンポのリモコンを探していたのを覚えています。
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