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首の後ろにビリビリとした殺意がはしる。
この体勢からでは避けられない。
俺は思い切って、空振りの勢いを生かしサーペントワンにタックルを食らわせた。
「おっと」
大した助走もなかったのでサーペントワンは難なく俺を受け止めたが、零距離のため鎌の一撃を防ぐことはできた。
また、この距離なら小回りの効かない鎌より俺の包帯の方が有利だ。
包帯の刃をバラした俺は、勘でサーペントワンの背中に切りかかる。
薄羽を一枚切ることに成功したが、他には何も当たらなかったようだった。
「やる、な」
サーペントワンがボソッと呟くのが聞こえた。
するとカマキリ状態の腕が普通のものに戻り、サーペントワンは俺を抱きかかえてくる。
「何を――」
強い圧迫に、俺はそれ以上声を出すことができなかった。
ひょろひょろしているクセに、妙に力が強い。
何とか腕の中から逃れようもがいていると、不意に俺の体が浮かんだ。
「じっと、してろ」
嫌な予感がする。
サーペントワンは俺を抱えたままフロアを高速で飛び始めた。
向かう先は、先程サーペントワン自身がぶち抜いた穴である。
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