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寒空の下で、憂鬱な瞳をした冴えない学生風の男が旗を振りながら突っ立っている姿が、向かい側にある店のガラスに映っていた。
頭の上に三角の耳がはえたような、特徴的な寝癖に、不幸そうな顔をしたそいつはどう見ても……そのガラスの向かい側に立つ俺自身。
ご丁寧に左胸に添えられた名札に、トウマという名前まで書いてあるから俺に間違いないみたいだ。
不景気な顔に、名前まで冴えないつまらない男。
それが俺だった。
あーあ、下らない。
超下らない。
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