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てかこの旗は地味に俺への皮肉なんだろうか?
だとすれば店長ぶっ殺し。
あー女の子といちゃいちゃしたい。
何か、明日くらいに急に可愛い転校生が来て、めくるめく学園青春ラブコメディが始まったり始まらなかったりしないかな。
……妄想は虚しさしか生まない。
取り敢えず美少女との出会い希望。
それだけで癒しになる。
俺の心の渇望に呼応して、旗の振りが激しくなっていく。
そんな、今年のクリスマスも寂しく終わりそうな予感をさせる時だった。
「ウワアアアア」
どうせならもっと可愛らしい悲鳴を聞きたいな。
なんて思わせる野太い男の声が、商店街の一角に響いた。
一斉に人々の視線が声の方へ集い、辺りは一瞬騒然とする。
人並みに野次馬精神を持ち合わせた俺もそちらに視線を向けるが、見えるのは同じ方向を見つめる野次馬の群れ。
他の人を見ると途端に馬鹿らしくなり、俺は旗を無心で振る作業に戻る。
が、
耳を叩く破裂音。
その乾いた音が何度か空気を打つと、再び静寂が戻った。
なんだ今の音は?
これがかの有名な、霊的現象が起こる時に聞くというラップ現象か?
この際幽霊でも良いや。
可愛い美少女幽霊様、俺に取り憑いて下さい。
そんな人間としてもう色々と残念な願望でまた妄想が膨らみかけるが、それもまた悲鳴で遮られた。
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