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「キャアアアアアア!」
今度は女の、それも若そうな女の悲鳴だった。
二度目の悲鳴に、興味本意にその場にいた馬鹿カップルどもは、さすがに警戒心の方が強くなったのか立ち去っていく。
なんだろ?
クリスマスを不幸に思った引きこもりニートかっこ32歳かっこ閉じるくらいの男が猟奇殺人でも起こしたかな。
上手いこと、その事件のおかげでクリスマスごとバイトが中断になったりしないかな。
しないよね。
あーもうサンタ死ね。
あーあ、下らない。
超下らない。
殺伐とした自分の心にも嫌気を差し、振っていた旗を力無く下ろす。
そこでやっと自分の周りの事態を把握する。
いつの間にか、広場には誰も居らず、静まり返っていたのだ。
ぐるりと首を巡らせ、辺りを一通り見渡すが、さっきまで鬱陶しいくらいにあった人影が全く見付からない。
あまりに静かで、気味が悪かったが、その静寂は長く続かなかった。
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