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女は無人の広場を見渡すと、背後を一度振り返り、ゆっくり前へ歩き出した。
前へ、前へ。
そして立ち止まった。
俺の前で。
「あ……の……」
女は俺に何か言いかけて、息を整え終わっていなかったからか口を閉じて俺に待ってのジェスチャーをする。
ほんの数秒待つと、親指と人差し指を合わせてオッケーのサインを作ると女は大きく息を吸った。
「こんな日にバイト?大変だね」
「かもな、けどまあ給料良いし思ったより楽な仕事だよ」
「そ、売れてる?」
「それなりに、味はオススメしないけどね、予約特典が魅力的なのかな」
予約特典という言葉に首を傾げた女に、旗を広げて見せてやると、興味深げに眺めていた。
その間に俺も、やらしくない程度に女を眺めるが……やっぱりかなり可愛い。
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