希望の光

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天子と過ごす三年目のX'masから、ずっと続く魔導書庫での生活。 「あの本がいい」 最初に手にしたのは回復系の魔導書。 「読めるのか?」 「ううん。読めないよ。パパ読んで」 魔王の膝に座る天子。 読み聞かせているうちに天子が先に、後から魔王もうたた寝する毎日。   今年十回目のX'mas。 書庫の中の魔導書物はすべて読み尽くした。 膝の上で寝こける天子を抱え、ベットに寝かしつける。 「天子よ…お前と過ごしたこの十年、楽しかった…」 魔王は思い出しながら言葉を口にする。 「お前の誕生とX'masを祝うには……ワシには少し足りぬモノがある…」 魔王は人間世界を見やる。 「この先もお前と過ごせたらどれだけ良いことか…」 魔王は天子の頭を撫でてから立ち上がると、久しぶりに自室への回廊を歩く。 自室へ向かう途中、何度も「すまない天子よ」と呟いていた。
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