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「ねぇねぇ彼女~。」
そんな幸せが立ちこめる街の一角で、綺麗な女が、数人の男に囲まれていた。明らかに下心を持った男たちはこの聖夜にも関わらず、女を漁ろうというのだろう。
たしかに女もかなりの美人だった。決して低くはない男たちと同じぐらいの長身で、それは、透き通るような白い肌をしている。着ているものは、シンプルなワンピースだが、細部にまで凝っている。それに、ファーダウンを羽織、これまた高そうなブーツを履いている。モデルのようなとでも言うのだろうか。
「一人?ちょ~可愛いねぇ。」
「すいません、待ち合わせている方がいるので……。」
可愛らしい声で必死に購おうとするが、男たちは聞く耳を持たない。
「いいじゃんいいじゃん~。あそぼ~。」
「困ります!」
男が女の手を取った時だ。
「強姦は犯罪だぞ。」
ふいに後ろから掛かった声に、男たちは一斉に振り向いた。
「まだしてねぇよ!」
「ほう?する気なのだな。」
振り向いた先には、男が立っている。きっちりと着こなしたスーツは全身ブランドもので、かなり体のラインがでているから多分オーダーメイドだろう。短い黒髪は黒曜石のごとく艶やかで、切れ長の目も黒曜石のそれだ。全体的にバランスのいいその男は誰が見ても美しいだろう。
「なんだぁ!やんのかぁこら!」
チンピラめいた男たちの因縁にもひるむことのない男は、殴り掛かってきた男たちをいとも簡単にかわす。
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