さあ!始めよう!

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 「ボコり返すくせに」 廉花ちゃんかわいそー、などとうそぶきながら隼人は寝る体勢に入った。「朝井が勝つに千円」などと賭けまで始まっている。ちなみに和希のオッズは平均で1.1倍である(ほとんど廉花に賭けるやつがいない)。  一方廉花はと言うと。  「今日こそ勝つ!ぜってー勝つ!見てろよ優!」  廉花は親友の畑本優那にガッツポーズをしながら教室中に聞こえるほどデカい声で勝利宣言をする。  「鷺嶋君」  廉花はよく女子から“鷺嶋君”と呼ばれる。  「邪魔してごめんね。でも今日当たる所わかんなくて」  「いいよ。気にしないで。で、どこ?」  「ここなんだけど」  「ああ、これ難しいよなぁ。でもこうするとさ…」  女子に説明する廉花を見ながら優那はため息をついた。  「黙ってりゃすっごい美人なのにねぇ~。廉は人生の半分くらい損して生きてるって感じ」  優那はラブレターと思しき手紙をつまみ上げた。
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