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「まだ、卒業式は終わっちゃいないだろう?」
「………?」
「…お前、頭の回転が遅いのな」
「!!」
明らかに馬鹿にされて白猫は顔を真っ赤にして怒った。
うるさい!
そう言おうとしたとき、剣士はまたあの表情を見せて白猫の口に人差し指を当てた。
「俺が主人じゃダメか?」
何が起こったのかわからず、白猫はぱくぱくと口を閉じたり開けたりする。
「で、でも、あの、明日…」
ようやく言った言葉は彼の微笑みに途切れる。
「俺は君がいいんだ。俺が主人じゃダメか?」
お母さんに似た、優しい微笑み。
急にいろんな感情がわきあがって、白猫はわぁっと泣き出した。
やっと卒業できるんだ!
それを見ていた剣士は、よく泣く猫だな、と目を細めてその白い髪を撫で続けていた。
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