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「君が…この子をかね?」
真っ直ぐに校長を見るクロスに、白い髭をたくわえた少し太った校長は目を丸めていった。
「ええ。式は終わってしまいましたが…彼は卒業の資格を十分持っているようなので。
…やはり、無理でしょうか…?」
シロを傍らに抱き寄せ、心配げに、しかしはっきりと言ったクロスに校長はとんでもない、と両手を振った。
「いえいえ、もちろんいいですとも。どうぞどうぞ、彼を卒業させてやってください。」
やけに嬉しげに目を垂らす校長に、クロスはピクリと眉をあげるも表情には出さずに頷く。
「魔法使いではなかなかお目にかかれない白い猫ですが、
魔法が使えずともこの容姿でしたら旅のお供としては最適かと」
まるで商人のように両手を揉んで話す校長の言葉にシロは理解出来ずにきょとんとしていたが、
クロスの瞳には明らかに深い怒りの色が降りていた。
その端正な顔のパーツと、口許だけ微笑んだ表情から、底に秘めた怒りの色を校長は伺えないらしい。
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