- ぬくもり -

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「はー…疲れた…。」 シロに案内された部屋へ入るなりクロスは首を回して大きな伸びをした。 「そうかな?」 僕はそうでもないよ、と首を傾げるシロの頭を撫でてクロスは微笑んだ。 別の部屋を用意するという校長の勧めを断り、彼はシロの部屋へ来ていた。 普通、部屋は2人部屋であるが、シロの場合は留年したという理由から、 それを一人で使っているということだった。 タテマエの理由だということはクロスにはすぐに分かったが、そのことについては何も言わず、 代わりに「一緒の部屋で寝れるからラッキーだな」、と笑った。 シロは部屋に入るなり、パタパタと走り回って掃除を始めた。 どうせ今年も卒業出来ないのだから、と特に荷物の整理をすることなく卒業式に臨んだものだから、 (クロスにとっては散らかってないも同然だったが)部屋にはいくつか本が散乱していた。 無意識に白いしっぽをピンと伸ばして背伸びつつ、高い棚へと本を置こうとする様子はクロスには笑いを誘うものだったが、その一生懸命さに自然に体が動いた。 「ここでいいか?」 棚を指差しながら尋ね、その白い手から本を取ると、クロスは事も無げに本を直してしまう。 「あ…ありがと…」 小さく呟くような言葉に気付かない振りをして、クロスは微笑みで返した。
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