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7時を回り、お腹の空いた二人は部屋から出て、シロが絶賛する食堂へ向かった。
その途中、何人もの生徒と擦れ違った。
人間が珍しいのか、不躾なほどの視線を感じ、クロスは少々戸惑っていた。
彼らにとって、人間は自分の卒業の条件でもある。
自分へ向けられた視線は羨望を帯びてシロに向けられるが、それがすぐに嫌悪に変わるのをクロスは感じた。
(あの人間、もしかしてアイツの主人なのか?)
(可哀相…あんなのの主人になるなんて…)
そんな幾つもの心ない言葉たちが通り過ぎる度に、白くフワフワとした耳がピクピクと動き、
そしてうなだれる様をクロスは見逃さなかった。
前を行くシロの肩を抱くように歩を進め、回りの言葉を遮るようにシロへと話しかけた。
「なあ、腹が減って死にそうだ。食堂はまだなのか?」
咎めるような言い方だが、慌ててクロスを見上げたシロは彼の優しい表情に顔を緩めた。
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