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去年とそう変わらない言葉を偉い人たちが並べていくのをぼんやりと白い猫は聞いていた。
黒、灰色、ブチ…そんな中で彼一人だけ、白。
別に、白い猫が珍しいわけではない。
魔法学校に白い猫が居るということが珍しいことのようだった。
毎年行われる卒業式には、卒業生の主人となる魔法使いたちが沢山出席する。
魔法学校で主席に選ばれたものには名のある偉大な主人から指名されたりする。
目の前で次々と卒業が決まっていくこの式は、ある意味残酷な宴なのかもしれない。
『偉大なる魔法使い、グラス・ハウアー様に選ばれたのは、我が校の主席、マリー・グリアス!』
ワー、と歓声が上がると、瞳いっぱいに涙をためた女の子が校長の立つ台へと上がり、卒業証書を受け取る。
その卒業証書は真っ白で、校長が金色に輝く魔法で卒業生の名と主人の名を書き記すと、やっと彼女は卒業生となるのだ。
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