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真っ白な彼にとっての窮屈な卒業式が終わると、彼はすぐに校庭にある大きな木の下に走っていった。
樹齢1000年は悠に超えているであろうそれには大きな幹に二本のロープが巻かれ、小さい木板に結ばれている。
その揺れる遊具に乗って、式では堪えていた涙をとめどなく流す。
『また留年だってよ!』
『いい加減卒業してくれればいいのに。』
『恥ずかしくないのかしら?』
長い歴史の中、毎年全員卒業生を送り出していたこの学校にとって、真っ白な彼の存在は汚名として認識されていた。
「僕だって辞めたいよ!こんな冷たい学校なんか…!!」
思わず叫んでしまった彼は、はっとなって地面に足を付く。
遠い昔から声が聞こえた気がした。
何度も小さいときに聞いた声と、その言葉。
『シロ、お父さんみたいに立派な魔法使いになるの。
あなたは身体が白いけれど、魔力がないわけじゃないの…』
「お母さん……」
ぶつけ様のない怒りと悔しさが彼の中で次々と涙に変わる。
…オカアサン…。ボク、モウ……
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