- 涙 -

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「うわっしまった!!!…っと、あれ?」 ガサリと後ろから音がして、彼はピクリと耳を立てる。 「なぁ、君…」 ぽんと肩に手を置かれた彼は突然のことで彼は涙をぬぐうことを忘れ驚いて振り向いた。 そこに居たのは魔法使いではなく剣士だった。 主人に値する人は、剣士、魔法使い、一国の王、あるいは商人や船乗りと様々であった。 おそらくこの剣士も自分の使いを探そうとここへ来たのだろう。 白猫はそう思った。 「あ…えっと。卒業式、終わったよな?」 「………」 コクンと頷いた白猫に気まずさを隠し切れない剣士は頬を掻き、途方にくれたように肩を落とした。 「仕方ない、他の魔法学校をあたるか…」 そんなことをため息混じりに言ってその場に座った。 剣士のその行動に慌てて白猫は涙をぬぐい、恐る恐る声をかけた。 「ぁ…あの……。卒業式なら、隣町の……」 「なぁ」 隣町のグロアーチル学校が明日…。 そう言おうとしたら、剣士のほうがそれをさえぎった。
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