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「どうして泣いているんだ?先輩が卒業して、寂しい?」
冷たく、しかも正確には後輩にあたる彼らが卒業していったことに関して白猫はなんとも思っては居なかった。
軽く首を振ると、剣士は、ならどうして…といった表情で白猫を見た。
「留年しちゃったとか…?」
白猫は何も言わない。
「単位取れなかった?」
ロープを握ったままの手に、ぎゅっと力が入る。
「じゃあ、どうし」
「白猫だからだよ」
色を含んでない声が、剣士の言葉をさえぎった。
「留年した理由は、ボクが白猫だからだよ。魔法だって、使えるのに…ッ…!!」
ぬぐったはずの涙が、また瞳に溜まり始める。
そんな様子を見ていた剣士がふっと微笑んだ。
「なんだ。俺は遅刻したわけじゃなかったのか」
意味がわからない白猫は一気に怒りがこみ上げてくる。
---この人は何を考えているんだ?!
---ボクが卒業できないでいるのがそんなに楽しいのか?
白猫は立ち上がり、剣士に背を向けて歩き出した。
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