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「わ、ちょ、タンマ!」
後ろで慌てたように追いかけてくる剣士を見て、白猫は走り出した。
「待てって!!!」
魔法学校の裏にある林に逃げ込もう。
方向を変えた白猫は、一生懸命走った。
「追いかけてくるなッ!!」
「だったら逃げるな!!」
そんなことを言い合いながら二人は走った。
流石に人間の男の足は速い。
しかも剣士で大人だ。
白猫は息が切れてきたのを感じた。
「わぁっ!!」
足まで意識が回らずにつまずいた大きな木の根。
身体が前へ崩れるそのとき、白猫はまるで空を飛んだような錯覚に陥った。
「あっぶな…」
間一髪のところで走る白猫の腹に手を回し、彼が転ぶのを防いだ剣士は次は逃げ出さないようにとその腕に力を込める。
「く…くるし…ッ…!離してっ!!」
「聞けって」
ばたばたと手足をバタつかせる白猫をぎゅっと抱え込んだ剣士はあやすように白い髪を撫でる。
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