嘆く男

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俺の名前は加藤 圭介。   今年のクリスマスは雪が降っている。     毎年、この時期に泣いている悲しき19歳だ。   彼女なんざ19年間いない。   来年は成人式。   なんとかしないとマズイかもしんねーな…。     クリスマスほどムカつく日は無い。   高校の時には同じ寂しい奴らと手を組んで町行くカップルの邪魔をしてやったっけ…。     流石に大学生がやるとなると、警察沙汰になりかねない…。       神は酷いよ…。   モテる奴だけ楽しむなんて。   何がイエス=キリスト誕生の日だ。   日本人はキリスト信者じゃねーだろうが!   信者じゃねぇくせにクリスマスしてんじゃねーよ!     クリスマスの馬鹿やろーーー!   言葉にならない叫びが俺の心にただ響いていた。           クリスマスの夜。   俺は町をブラブラしていたのだが…。     「カップル共め! 幸せそうな顔をしてんじゃねーよ!!   こんちくしょうめ…」     町はカップルを祝福するように多大なイルミネーションで包まれていた。     俺にもいつかはこの日に笑える日が来るのだろうか…、いや、来ないだろう(反語)………苦笑…。   「心が痛い…」     ドカッ!!   俺は道につまづき、勢いよく転んだ。   俺は立ち上がれず、そのままにしていたら、ドンドン雪が俺に降り積もり、俺を覆っていった。       「そのまま死のうかな…」   俺は生きる希望すら消えかかっていった。  
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