母の記憶

3/11
前へ
/382ページ
次へ
この頃から両親は喧嘩を頻繁にするようになった 口喧嘩はしょっちゅうで、物が壊れる事や酷い時には酒に酔った父が母に手を挙げる事もあった けれどどんなに酔っていても、決して父は私には手を挙げる事はなかった 母は父に殴られる度にじっと涙をこらえて耐えていた 家族の会話もなかったけれど、それを私は寂しいとは感じなかった 初めの頃は少しずつ変わっていった父と母に戸惑い、寂しいという感情があったかもしれない だけれど今となっては、そんな感情はいつの間にかなくなっていた だからなのか私は人から干渉される事を嫌い、干渉する事もしなかった
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加